高齢者診療の難しさ
高齢者の診療が難しいことについて前回触れたが、ここについてもう少し書いてみたい。
高齢者は複数の病気が同時発生することが多いという話をしたが、これだとどう難しいのか。
お医者さんは診療するとき、できるだけ病気の原因をピンポイントに絞り込もうとする。
しかしながら、高齢者が複数の病気を同時発生していると、この絞り込まれた原因以外にも原因がありそうだ、という話になる。
この場合、お医者さんとしては様々な原因に対処するような薬を使うのがベターと考えてしまうのだ。
広く効く薬というのは、様々な原因に効果がある反面、広く薬に抵抗する力を身体につけてしまう薬剤耐性を強くしてしまう課題がある。
すると、今後の病気に影響を与えてしまうかもしれないのだ。
実際、高齢者は既にさまざまな薬剤耐性を持っているケースが多い。
すると薬を処方しても効果が見られないということもありうるのだ。
このように、複数の病気が同時多発すると、たとえメインで出ている症状がわかっても、それに対する標準治療が弊害となってしまうこともある。
例えば、菌血症という病気になった場合、10~14日程度の点滴入院治療が標準となっているが、高齢者がこの治療をしてしまうと、認知症の進行などを引き起こしてしまう可能性がある。
そのため、薬での治療も視野に入れて検討する必要があるのだ。
とにかく高齢者の診療は難しいと思っておこう。
・判断に迷う場合は病院へ行く
・病院へ行っても1回で原因がわからない可能性がある
ことを意識しておくのが大事になる。