高齢者が発熱した場合に意識しておくこと

高齢者が発熱した場合について考えてみる。

というのも、高齢者は一般成人における診断の考え方がはまらない場合が多い。

これを意識しておくことがまずは重要になる。

 

では、まず高齢者とは誰なのか。

定義はなかなか難しいのだが、日本では栄養状態の改善などにより、年をとっても元気な方が増えてきている。

昔は65歳以上を高齢者としていたが、これが妥当ではない状況になってきており、現在では75歳以上を高齢者の目安とするのが妥当だ。

 

そして、次に発熱の定義だが、これは平熱+1℃と考えよう。

平熱にばらつきがあるので、絶対的な対応でなく平熱と比較した相対的な対応で判断するのがいい。

 

高齢者の発熱の定義ができたところで、具体的にどう症状を判断するかだが、実は高齢者の診断は病院でも難しい。

その理由は、複数の病気の同時発生の可能性が高いことだ。

一般成人の場合、医師は極力1つで説明できる病気を探す。

しかしながら高齢者は複数の病気が同時発生することが高いのだ。

これが問題をより複雑にしてしまうので、医師であっても正確な診断が難しいのだ。

 

高齢者が病院にくるときの多くは、「ある症状が出た」という急性疾患がきっかけになっている場合が多い。

具体的には尿路感染症や偽痛風などの頻度が高い。

しかしよくよく話を聞いてみると、実は他の慢性疾患を持っている場合がある。

医師でも、急性疾患に目を奪われて、慢性疾患を見落としてしまうことは多いのだ。

 

これらのような状況なので、75歳以上の高齢者で平熱+1℃以上の発熱があれば、病院を受診した方がいいだろう。

そして受診後も様子を見ながら、違和感があれば病院を再受診することを考えておくべきだ。

何度か受診して、病気が特定されることは珍しくなく、それは医師の腕が低いからではなく、高齢者によくある事態なのだと理解しておくことが大事だ。